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何も言わずに首をかしげるだけだが、バーンハートは一応聞く気はあるらしい。その様子だけ確認すると、ユラは語り始める。
「私も友達は多い方ではありません。唯一、ここを一緒に経営しているマリーが友人と呼べる存在です。だから、あなたの考えも分かります。……同じように思っていたから」
視線を少し上に向け、遠くを見るように記憶をたどる。花薬師の勉強をしているとき、級友にやっかまれて一人でいるしかなかった。一人でいることで自分を守っていた。今思えば、誰かを信じて頼ればよかった。
「周囲に嫌われて独りぼっちだった私に、マリーが興味を持って声をかけてくれた。だから今がある。もしかしたら、バーンハートさんとマドックさんの関係は、昔の私たちに似ているのかもしれません」
それなら、といったようにバーンハートの目に希望が灯る。
「だからこそ、気を付けてもらいたいこともあるんです。あまり踏み込みすぎないでください。ゆっくり距離を詰めてください。最初からがつがつ来られたら、怖い。それが原因ですぐには仲良くなれませんでしたから」
小さく肩をすくめ、苦い笑みが顔に貼りつく。
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