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「マドック、また、今日の学校が終わった後、グラウンドに来てもらえるか?」
声を聴いただけで、そこに誰が立っているか分かっていた。今まさにマドックを悩ませている張本人だ。
「……」
「頼むよ。迷惑かもしれないけど、ちょっとの時間でいいから」
「……分かった」
マドックがそう答えると、バーンハートは小さくガッツポーズをした。バーンハートが何を考えているのか、マドックには全く分からないでいた。学校とは違う外でのマドックを笑いものにするでもなく、明かされたくなければと脅しにかかってくるわけでもない。
人より容姿が優れている以外は『普通』の範疇にいるはずなのに、そこから外れたような雰囲気も持ち合わせた彼が、前から苦手だった。
「ねえ、今の聞いた? またバーンハートがマドックのこと誘ってたよ」
「何なのあれ。ていうかマドックみたいなのがバーンハートの時間使うとか生意気じゃない?」
「わかる~。ただでさえ一人浮いてるんだから、そのまま一人でいればいいのに。そもそも断れって話よ」
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