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校舎とは反対側のグラウンドの隅で立っていると、バーンハートが駆けてくる姿が見えた。今日は何を言われるのだろうかと、マドックは身を固くする。
「ごめんな、待たせたか?」
好青年然としたバーンハートが、軽く息を切らせて話しかけてきた。先ほどの目を見てしまうと、バーンハートが何を考えているのかが余計に分からなくなる。「待ってない」とだけ答えると、ほっとしたように胸に手を当てた。
「お願いがあってさ。俺も掃除の手伝いしていい?」
「は?」
「やっぱり俺はお前と友達になりたいんだよ。それなら相手のやっていることを手伝ってみるのも一つの手じゃないかなと思って」
素晴らしい案を提示しているかのように、バーンハートは胸を張る。普通ではない場面を見て、何故この男は友達になりたいと言えるのだろう。本当は何も考えていないのではないかという気すらしてくる。
マドックが返答しないことで、胸を張るのをやめたバーンハートが顔を覗き込んできた。
「ダメか?」
「土曜の朝5時」
「お? 集合時間か! 了解!」
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