友愛の先に

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「ん~、ピアスを耳にも鼻にもつけてるんだよ。ああ、舌と唇にも着けてるやつもいたな。髪もパンクな感じで側面は刈り上げで伸ばしている方は青とかピンクとか……。まあ、硬派には見えないよなあ。そんな見た目の連中が掃除してくれてるんだよ」  話を聞く限り、相当の反骨精神が見た目に現れているようだ。しかし、集まってやることが公共の場の清掃というのがまた変わった集団のように思う。 「その中心がレッキーさんなんですか?」 「そうそう。あいつのご両親は厳格な人でね、相当まじめな奴だよ。けんかは強いみたいで、ここらの不良を更生させるために掃除始めたんだよ。そういや、レッキーも少し前まで見た目は派手だったなあ」  やはりとユラは思った。マドックのちぐはぐな雰囲気は、作っているものだからこそ生まれているのだ。けれどマドックがなぜ今のような性格を装っているのかが分からなかった。 「ふうん。いい子たちなんですね」 「ああ。レッキーたちのおかげで、俺らもここで気持ちよく商売ができているしなあ。おっと、そろそろ休憩も終わりだな」 「あっ、付き合わせちゃってすみません」
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