菫 一緒にいたいの

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「それから、今年からクラスの出店の制限が外れたので、やりたいことをして良くなりました。飲食系でもお化け屋敷とかのアミューズメント系でも。そして、集客率でクラスの順位をつけて、上位3位までに入ったら、校長から商品がもらえるそうです。」 またクラスが騒めき、「何にする?」「校長って田舎の地主らしいから、けっこう良いものもらえるんじゃない?」と、昨日までにはなかったやる気が芽生え始めていた。 成海が全て会議で提案したのではないだろうか。菫は教壇に立つ成海をぼんやりと眺めていた。何か閃いて会議に向かっていたし……。 クラスでは既に何を出し物にするかの案が出され始めていた。仮装喫茶やお化け屋敷、ステージでダンスなどの声が上がっている。最終的には多数決で決めることにはなる。 「神谷は?何がいいの?」 背後から藤澤に声をかけられて、菫は振り返った。お昼を共にしている割には、日頃、藤沢から声をかけられることはほとんどなかった。 「うーん……お化け屋敷とか楽しそうだけど、準備が大変だよね、きっと。」 「うちの学校では今までやったことがないし、試行錯誤しながら作ることになるだろうね。」 「藤澤くんは?」 「俺は出来たらあんまり忙しくないやつがいいなぁ。文化祭の前の週がバレー部の試合でね。練習も手を抜けないから、どこまでクラスに貢献できるか分からないんだ。」 藤澤は苦笑して、前でクラス一人一人の意見に耳を傾ける成海に視線をやった。
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