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「宮田って右膝を怪我してるんだな。」
「……うん。」
「俺も中学の時からバレーをしていたから、宮田がバレーをしていた時のことは知っていて。県ではかなり有名な選手だったんだけどね。うちの部の先輩も悔やんでたよ。入部してくれたら、チームはかなり強くなったのにって。」
藤澤はそこで一呼吸おいた。
「あいつ、強いよな。好きだったことができなくなって、まだそんなに経っていないのに、ああやって笑えるんだから。」
藤澤くんの言う通り、成海は確かに笑っている。誰がどこから見ても、その笑顔が偽物だとは思わない。でも時折、すごく冷めた目をする時がある。その目に自分も何度か出会ったことがあった。
「そういうわけで、多数決をとります。」
黒板には書記を担当している歩夢の字で、仮装喫茶、お化け屋敷、ダンス、フルーツパーラーと書かれている。
「神谷はお化け屋敷だろ?俺はどうしようかなぁ……。」
菫の後ろで藤澤はまだ決めかねているようで、周りの子にも「どれにする?」と尋ねまくっていた。
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