桜 真夏の夜の花火大会

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3時間目の古典は電話で話した通り、桜は真尋と一緒にエスケープした。 屋上はさすがに暑いので、軽音部の部室においでと真尋に誘われて、桜は初めて部室に足を踏み入れた。 「いいの?無関係の私が入っても?」 「いいよ。誰も来ないし。」 軽音部の部室は空き教室を利用しており、部員のギターやベース以外にも学校で購入したドラムなどの楽器が部屋の3分の2のスペースに無造作に置かれている。残りのスペースには部員の誰かが持ってきたと思われる絨毯がしかれ、カフェテーブルが置かれている。 「そこ座っていいよ。」 「うん。」 桜は上靴を脱いで絨毯に腰を下ろして辺りを伺った。真尋のギターもある。もうすぐライブだから、今日も帰りに練習があるのかもしれない。 「あげる。」 顔を上げると真尋がパックの苺ミルクを渡して桜の隣に腰を下ろす。 「ありがとう。」 「どういたしまして。」 そう言うと真尋はカフェテーブルをどかして、そのまま倒れるように絨毯に横たわった。 「寝る?」 「うん。ごめん……」 すでに意識は半分夢の中の真尋。桜は慌てて真尋の背中を叩いた。 「ひ、膝使っていいよ!」 「俺、重いよ?」 「平気!全然大丈夫!」 真尋になら貸したいって思うもん。桜が必死な思いで訴えると、真尋は穏やかに微笑して桜の膝にふわっと柔らかな髪をのせた。 「おやすみ。」 「お、おやすみなさい!」 自分で誘っときながら、心臓の鼓動は振り切れそうなぐらいに音を立てる。この人に触れられると自分は理性を保てなくなる。
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