482人が本棚に入れています
本棚に追加
ちょっと待って!
桜は丈に掴みかかりたい思いをなんとか抑えて、彼を睨みつけた。どうしてそこで真尋に話を振る!?四人で行こうって話だったよね!?
「興味ない。」
無表情のまま真尋が感情を一切込めずに答えるので、丈はつまらなそうに机に頬杖をついた。
「桜ちゃんの浴衣姿が見られるよ?」
ちょっと待って!
桜はさすがに黙っていられなくて、ガタリと席を立った。
私、浴衣を着ていくなんて言っていないし、だいたいなぜにそこまで真尋に絡むわけ!?
「だから興味ないって。俺、バイトだし。」
「安藤って本当に可愛げないよね。」
丈が最後には一人言のように「つまらん。」と呟くと、見かねた猛が丈の頭を軽く小突いた。
「そいういうのやめろって。」
「だって、あいつは俺のライバルだもん。」
完全に機嫌を損ねた丈が席を立って教室を出て行ったので、猛は桜と舞香に苦笑して、丈の後を追って出て行ってしまった。もちろん出ていく時に、真尋にフォローのために二言、三言、言葉を交わしたが、真尋は本当に気にしている風なく猛に笑いかけていた。
最初のコメントを投稿しよう!