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終業式の次の日にmorning glowのライブがあり、桜は夕方にはジーパンとTシャツというラフな格好で家を出た。ラフな割には髪の毛をコテで巻いてから、頭頂部でお団子にして、夏らしく白地に水色のドット柄のリボンで結んだのは、少しでも真尋に可愛いって思われたい気持ちがあったからだ。もちろん、そんなことになびく男でないことは重々承知だったが。
「友達の家に泊まるって大丈夫なの?」
今日が仕事休みの母親が渋い顔をして桜に声をかける。昔ほど自分に対して過保護ではなくなったものの、心配性なのは相変わらずだ。
「平気。とても仲のいい子だから。」
「ならいいけど。あ、今度うちにも連れて来なさいよ。お世話になってばかりでは悪いわ。」
「……う、うん。そのうちね……。」
連れて来れたらどんなに良いかと思うけど、そんなことしたらお母さんもお父さんも確実に腰を抜かす。男の子の家に泊まるなんてあり得ないって。私だってあり得ないとは思う時もある。それでも礼央や亜貴、翔太といる時間は楽しいし、真尋とはそれ以上に少しでも一緒にいたい思いがあるのだ。
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