桜 真夏の夜の花火大会

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桜がもらったアルバムから何曲か歌い、新曲の歌を2曲披露したところで、会場が少し明るくなって、礼央がマイクをとってMCの時間になる。何回かmorning glowのライブに来ている客の中には、このMCを楽しみにしている人も多いことを桜は感じていた。4人の幼馴染みトークが微笑ましいのだ。基本は真尋が礼央と翔太に弄られることが多い。それを最後に亜貴がうまくまとめてくれる。 「俺らね、実はまだ高校生で、色々な人の支えがあってここに立たせてもらっています。」 礼央がそう言うと、「えー!?」と会場からどよめきの声がする。 「見えないよね。真尋なんかさ、無駄に大きいし、制服姿とか想像しても、似合わねえって感じだもんね。」 「似合わねえって失礼だな。一応、毎日制服着て学校に行ってますよ。」 二人のやりとりに会場からクスクスと小さく笑い声がする。 「真尋が大きいのは昔からだもんね。ランドセルが小さすぎて小5で背負えなくなっちゃって、リュックサック生活だったし。」 亜貴が補足すると、翔太がニヤリと笑って話を受けつぐ。 「でも、こいつこんなに大きいわりに昔から牛乳が大嫌いなんですよ。」 「えー!?」っと桜の横の女の子が声を上げたので、話に引き込まれてくれている姿に、桜は安心していた。 「俺なんていつも真尋の残した給食の牛乳を飲まされて。担任の先生に見つかったら怒られるから、昼休みまで隠し持っていて、あげるとか言われて渡されるわけ。おかげで今では真尋に追い付きそうなぐらいまで身長伸びましたけど。」 「いや、牛乳と身長はマジで関係ないからね。だいたいご飯のメニューに牛乳飲ませるのが納得いかない。」 そこまで二人が話すと亜貴が話をまとめるように、軽くギターの弦を弾く。 「みなさん、どう思います?牛乳で身長が伸びる説。骨は強くなるって言われてますけどねえ。あ、そろそろもう1曲やっていいですか?新曲ね、もう1曲作ってきたの。真尋、よろしくね。」
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