桜 真夏の夜の花火大会

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morning glowのあとのバンドも桜は聞いた。真尋達も片付けを終えたら会場の裏で聞いていると言っていたから、その後で合流する約束にもなっていた。お客さんの数は減らなかったし、寧ろそのバンドを待っていましたというお客さんだってたくさんいた。それでも、ライブ会場を出ると、「今日の最初のバンド、カッコよかったよね。」なんて声も聞こえてきた。 桜が地下からの階段を上がり、地上に出たところで、 「神谷!」 どこか懐かしい声が自分の名前を呼ぶ気がした。 「神谷、ここ!」 辺りを見渡すと、ライブ会場から少し離れたコンビニの前で、あろうことか伊勢谷千鶴が自分に向かって手を振っていた。 「先生……?」 幻だろうか。転勤して4ヶ月。誕生日にはメッセージカードをもらった。[君は君だから。やりたいことをして生きなさい。]って書かれていた。人の目を気にして言いたいことを言えず、泣いてばかりだった自分を励ましてくれる言葉だった。 「今日、安藤に来て欲しいって言われて来た。それで、終わったら会いたいから待ってて欲しいって頼まれたの。ちなみに神谷がどこかにいると思うから、見つけ出して傍にいてあげて欲しいって。この時間に一人でおらせるのは心配だからって。」 「……。」 「お前らついに付き合ったの?」 「ち、違います!!」 ニヤニヤっと笑う伊勢谷に桜は教師ということも忘れて、彼の肩をバシバシと叩いた。
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