桜 真夏の夜の花火大会

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「どう?調子は?」 伊勢谷の言葉に桜は「大丈夫。」と笑って頷いてみせた。 「友達もできました。部活もバイトも充実しているし、勉強も……理解は遅いですけど、学校の先生と塾の先生に二重に教えてもらって、少しづつだけど成績も伸びていて。」 「それは良かった。」 「でも……」 自分がこんなことを言ってもいいのだろうかと思うけど、それでも彼女のことを放って置けなかった。 「菫ちゃんがずっと元気がなくて。」 「委員長が?」 「陸上も勉強も思うような結果が出ていないみたいなんです。私が心配するような立場ではないけど、でも、放ってなんておけなくて。宮田くんが傍にはいてくれるみたいだけど、彼も色々と悩んでいる感じがあって……。」 写真のコンクールは送れなかったみたいだし、菫ちゃんの話では家族とは変わらず疎遠のようだ。 「先生なら菫ちゃんの力になってあげられると思うの!だから、無理を承知でお願いします。菫ちゃんに会いに行ってあげてください。」
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