桜 真夏の夜の花火大会

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❇︎❇︎❇︎が [絶対に浴衣着てきてね!] 丈と猛と舞香と花火の約束をした朝、桜の元に舞香から送られてきたメッセージだった。 夏休みに入ってすぐ行われた調理部の活動でも、舞香から一緒に浴衣を着ようとお願いされた。 舞香の気持ちは桜にも十分に分かる。好きな人の前では少しでも可愛く着飾りたいと思うものだ。 まぁ、自分の見せたい人は「興味ない。」とあっさりと切ってしまうような人だが。 浴衣自体は持ってはいる。去年の春に勢いで購入したのだ。当時付き合っていた彼氏と花火に行くかもとか思って。 その後、色々あって浴衣を着て出かけるなんてこともなく、購入した浴衣は日の目を見ることもなく、クローゼットで眠っている。 「お母さん!浴衣着たいんだけど。」 舞香ちゃんのためだしと思いながら桜は浴衣を手にして階段を降りた。 土曜日の今日は、仕事も休みの母親は、リビングでくろと一緒にくつろいでいる。
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