桜 真夏の夜の花火大会

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「ごめんね。遅くなっちゃった。」 舞香が下駄の音を鳴らして、三人の元に駆け寄って来た。紺色の下地に朝顔の柄が描かれ、薄い桃色の帯で結んでいる。それに…… 「舞香ちゃん、コンタクトしてる!」 いつも赤い縁のメガネをかけていたのにそれを外している。 「な、夏休みに入って変えてみたの。変かな?」 「ううん。すごく似合ってる。ね、」 桜が猛に話を振ると、猛はふっと笑って舞香がお団子でアップにして、根元に指した簪に優しく触れた。 「うん。よく似合っている。可愛い。」 「あ、あの……ありがとう。」 それだけ言うと、舞香は桜の後ろにぱっと隠れてしまう。猛に触れられて頬を染める姿は相変わらずだ。
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