桜 真夏の夜の花火大会

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花火が上がる時間までは4人で出店などを回って過ごした。花火の打ち上げ会場は河川敷の近くだったが、駅からそこまでの道のりには隙間なく出店が軒を連ねていた。 桜が見る限り、舞香も猛と話すことには随分と慣れたようで、二人で揶揄いあったりする姿も見られた。 「なんかいい感じじゃん。あの二人。」 二人のこともあり、自然と桜は丈と隣で歩く機会も増えて、拒むこともできず、それを受け入れていた。それに普通に接していれば、丈が悪い人ではないという思いもあった。 「桜ちゃん、綿あめ食べない?」 「食べたい!」 さっきから出店から漂う砂糖の甘い匂いに鼻をくすぐられていたのだ。 「俺も。一緒に買いに行こう。」 ぱっと丈に手を取られて、慌てて解こうとしたけど、小走りで走っていく丈に引っ張られて、そんなことも出来なくなっていた。 人が多いこともあり、この手を離したらはぐれてしまう気もして、尚更付いて行くしかなかった。
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