桜 お守りに欲しいの

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左と右でイヤホンを分け合って、屋上のフェンスにもたれて、頬に春の風を受けながら、二人で最後までアルバムを聞ききった。 桜は時折、気付かれないように隣に座る真尋に視線をやった。 ちょっとぐらいいいかな……もう少し安藤くんに触れたいと思う自分がいる。男の子に自分から触りたいなんて思うのは初めてのことだ。 桜は自分から真尋の肩に頭をもたれさせてた。安藤くんの体温と匂いが自分の気持ちを落ち着かせる……そう桜が思った瞬間、ぎゅっと真尋に手を繋がれ、細くて長い指先が絡まるのを感じた。 「あの、安藤くん!」 自分から近付いたくせに。手なんて繋いでもらえると思わなかったから、不意の出来事に脈が早まる。 「何?」 安藤くんの顔を見ると、いつ通りのこっちの気持ちを見透かしたような顔をしている。私が触れたいって思うのに、触れられるとドキドキしてしまうことに既に気付いているのに、「何?」とか聞いてくるのだ。最近の安藤くんはちょっと意地悪だと思う。
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