桜 お守りに欲しいの

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レジの精算が終わったら、休憩に入るように言われていた桜は、レジスターの中の金額に過不足がないことを確認して、店長にカフェラテをお願いして成海の隣に腰を下ろした。 「宮田くん、最近ずっと写真を撮ってるね。」 「あー……ちょっとだけ真面目に頑張りたいなぁって思ったの。」 「そうなんだ。」 「だってみんな頑張ってるでしょ。猛も神谷も真尋も。それに……すーちゃんも。」 いい顔だと桜は思った。去年の宮田くんとは別人のようだ。一生懸命なんて嫌だと逃げていた彼とは違う。 「それより神谷!明々後日誕生日じゃないの?」 俺の話はいいからと言いたげに、成海はカウンターのテーブルをトントンと掌で叩いた。 「うん。菫ちゃんから聞いた?」 桜が記憶を辿っても、成海に誕生日の話をした覚えはない。と言うことは、菫からの情報だろう。 「聞いた。そう言うところやっぱり双子だから似てるのかな。」 「えっ?」 「神谷もすーちゃんと同じで、聞かれなきゃ自分の誕生日を言わないタイプでしょ。」 「菫ちゃんもなんだ。だって恥ずかしいじゃん。自分で自分の誕生日を人に教えるなんて。」 だから、知り合って間もない友達には、誕生日を知られないまま終わることも多い。それはそれで良いかなとは思う。家族や菫ちゃんが祝ってくれるしと。
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