桜 お守りに欲しいの

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❇︎❇︎❇︎❇︎ 成海がバイト先に来てくれた次の日も、桜はいつもと変わらない半日を過ごした。あの後、成海には「何かプレゼントさせてね。」とは言われた。それが友達としてと言うのは桜も分かっていたので、素直に「楽しみにしている。」と喜んだ。 4時間目の授業が終わり、桜は今日も舞香と机を向かい合わせに引っ付けてお弁当箱を開いた。舞香も桜と同じで朝は自分でお弁当を作っており、二人で今日のメニューを見せ合いっこして分け合うのが日常になっていた。 だから、今日も朝一で揚げたコロッケを舞香と分け合おうとしていた時だった。 「ちょっといい?」 ガタガタっと桜の隣の席の椅子が引かれたので、桜は手を止めて視界を上げた。 「あ、安藤くん……。」 珍しい……。教室でしかも昼休みに真尋が桜に話しかけてくるなんてことは、数える程しかなかった。 「ごめんね。お昼の時間に。」 真尋は本題に入る前に、舞香にお侘びの言葉を一言述べた。 「あ、全然!ゆっくり話してください!」 舞香は真尋にぺこりと頭を下げ、桜には意味深に微笑んで見せた。
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