桜 お守りに欲しいの

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その日の夜更けに桜は自室にこもって、ベッドに座り込んで真尋にメッセージを送った。ベッドの傍の窓を開けると、薄雲にかかったぼんやりとした満月が見えた。 [安藤くんの家に泊まりたい。] 送るのを10回ぐらいは悩んだ。また安藤くんを困らせるのは分かっているから。本当はこんなに積極的な性格ではない。男の子に自分から近付いたりなんてしないのに。 それでも…… 一緒にいたい気持ちが勝る。勝って止められなくなって、指先を動かしていた。桜はスマホで時刻を確認した。もうすぐ1時になろうとしている。さすがにもう寝ているだろうし、次の日に安藤くんに何事かと問い詰められても夜中のテンションのせいだと言い訳もできる。 「そろそろ寝なきゃ。」 これ以上の夜更かしはさすがに明日の授業に差し障る。担任の棚橋先生は優しいけど、結構小言が多い。 桜が窓を閉めようと、窓枠に手をかけた時だった。スマホが鳴って、数秒動きを止めた。 ……出なきゃ…電話…… スマホを手にして、また数秒固まってしまう。だって……ぎゅって掛け布団の端を掴みながら、桜は震える手で通話ボタンを押した。
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