桜 お守りに欲しいの

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「な、何で起きてるの?」 桜の第一声は半分パニックで、可愛げのない台詞になった。 「何となく。」 うーっ……。さっきより強く布団の端を握る。安藤くんの声が好きで、電話だと耳元で響くその声に体の端から端まで電気が走ったような感覚に陥る。 「あんたさー、あのメッセージ何なの?」 「だって、やりたいことをしようって言ったのはそっちでしょ!」 何なのって、そんなこと聞かないでよ。もっと一緒にいたいんだもん。学校でしか会えないなんて、本当は嫌なんだもん。 「今、何してたの?」 これ以上掘り下げられるのは恥ずかしくて、桜は逃げるために話題を転換した。 「今?風呂あがって、亜貴が作った曲を聞いて、それから棚橋からもらった課題をしてた。」 課題は先日、3日続けて遅刻をしたことに対するものだった。棚橋に理由を聞かれて、真尋は誤魔化すこともなく、「気分です。」と言ったものだから、課題を渡されたのだ。
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