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「てか、話を変えんな。」
「うっ……。」
この人に誤魔化しや嘘は通じない。自分が言ったことなんだから、最後まで責任を持てってことだ。
「あのメッセージだけど……」
妙な間ができる。桜は次の言葉を静かに待った。安藤くんが珍しく言葉を選んでいる感がある。
「俺の家に泊まりたいって、マジで言ってんの?」
「だ、ダメかな?ううん、ダメならいいの!全然!」
そりゃ安藤くんの家に迷惑をかけたくはない。自分のただのワガママだもん。安藤くんといたいっていう。
「あんたって実は中身、天然だよね。」
「えっ!?えっ!?」
「何か頭痛い。」
何で?何が?
「前にも言ったと思うけど、俺は男であんたは女なんだよ?それとも何?そんなに俺のこと信用してくれてんの?」
男と女だってことぐらい分かっていて言っている。安藤くんのことはもちろん信用している。信用しているから、安藤くんになら……
「安藤くんなら怖くないもん。信用しているから何されてもいいって……」
「あー!もう喋んな!」
桜が言い切る前に、真尋は桜の言葉にストップをかけた。
「分かったから。礼央たちにも声をかけておくから。だから、泊まりにおいで。」
電話越しでも焦る真尋の様子が伝わってきて、桜は真尋の優しさに触れたのを感じていた。
「安藤くん、あのね……」
「何?」
「私、みんなと一緒に過ごす時間が好きだよ。」
去年の秋頃にしたお泊まり会は楽しかった。みんなでご飯を食べて、ゲームをしてDVDを見て。
「そう言ってもらえたら、あいつらも喜ぶよ。」
「うん。楽しみにしてるね。」
たがら今はそれで十分満足だ。
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