桜 お守りに欲しいの

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❇︎❇︎❇︎の 誕生日の朝に桜は菫に口紅をもらい、学校に着いたら成海と猛にアイシングクッキーをもらった。 「二人から。神谷さんとお揃い。」 猛に満面の笑みで言われ、桜は素直にお礼を言って箱を開けた。箱の中には動物や星、花をかたどってクッキーが入っていて、猫がHappy Birthdayと描いたプレートを持っていた。 「くろに似てる!」 「でしょ。絶対これがいいって思って選んだの。」 成海が自慢気に教えてくれる。本音は言わないけど、きっとくろに似たクッキーを探してくれたのだと桜は思った。 「桜ちゃん。」 桜の机を囲むように立つ成海と猛の間を割って入りながら、丈が桜に縦長の紙袋を差し出した。 「えっとあの……」 「そんなに警戒しないでよ。お誕生日おめでとう。俺からプレゼント。」 「あの、そんなの申し訳ない……です。」 戸惑い紙袋を掴むことを躊躇する桜に対して、丈は何で遠慮するかなと、理解できなさ気に首を傾げた。 「ありがとうでいいじゃん。俺の知ってる女友達なんて、寧ろ自分からプレゼントちょうだいって言うよ。」 「神谷、気にしなくていいよ。こいつ、人の誕生日とか祝うの好きなの。」 「そうそう。俺も去年もらったよ。」 成海と猛が口々に丈の性格を教えてくれたので、桜もこれ以上遠慮する方が失礼だと思い、プレゼントを手に取った。
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