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夜更けまで話をしてゲームをしてDVDを見て、「そろそろ寝ようか。」となったら、桜がこの家に来た時と同じように、真尋は自室のベッドを隅から隅まで整えてくれて、
「ここで休んで。」
と桜に言ってくれた。真尋の部屋はあれから半年以上経つが、特に変わりはなくて、本棚には相変わらずたくさんの本やCDが並べられて、部屋の隅にはギターが立てかけらている。
「あの、安藤くん……」
桜は部屋を出ようとする真尋のパーカーの裾を掴んだ。今日はすごく楽しかった。こうやって4人の仲に入れてもらって幸せだと。でも……ほんの少しだけ安藤くんと二人でいたいと思ってしまう。
「あのさ……」
その思いが伝わったのか、真尋は立ち止まって、桜の方に向き直ってくれた。
「何か欲しいものない?」
「えっ?」
「俺から個人的に桜に何かあげたいって思ってた。でも、女の子の欲しいものとかが疎いから、教えてくれたら助かる。」
欲しいもの……ただこうやって一緒に過ごせるだけでいいのに。でも、きっとこう言う時の安藤くんは引いてはくれない。
「あ、じゃあ!」
本当は毎日だって会いたい。学校で姿を見られるじゃなくて、話をして傍で笑いかけて欲しい。彼に触れていたい。もちろんそんなこと叶わない望みだって分かっているけど。
「私、あれ欲しい!安藤くんがギターを弾く時に持ってるやつ!」
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