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「でも……桜となら一緒に過ごしたいかも。」
「あ、あの……」
それは邪魔じゃないってことだよね?約束してもいいよってこと……だよね?
「ケーキ、練習する!ほら、ロウソク刺さなくてもいいようなやつ。秋だしモンブランとか!他にも……」
桜が必死になってロウソクが似合わなそうなケーキを探し出そうとする横で、今度は真尋が堪え切れずに吹き出した。
「じゃあ、桜の作るケーキを楽しみにしてます。」
桜の髪をもて遊ぶように触れていた真尋の指先が桜の頬に触れ、下唇に触れた瞬間、桜は全身が火照っていくのを感じて、勢いよくベッドから立ち上がった。
「安藤くんがびっくりするぐらいの超絶美味しいものにするからね!」
自分でも何をやっているのだろうと桜は思った。もしかしたらこのままキスできたかもしれないのに。なのにキスされるかもって思ったら、ドキドキし過ぎて頭の中が何も考えられなくて、緊張がピークに達して、隣になんて座ってられなかった。
「期待してるね。」
ベッドから立ち上がる安藤くんは顔色ひとつ変わらないのに。いつもと同じ。ポーカーフェイス。
「おやすみ、桜。」
「おやすみなさい。」
今夜は絶対眠れない……。こんな心臓がどくどくしいる状態で、安藤くんの匂いのするベッドになんて入って、すんなり眠れるわけがない。
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