桜 お守りに欲しいの

37/37
429人が本棚に入れています
本棚に追加
/642ページ
「でも……桜となら一緒に過ごしたいかも。」 「あ、あの……」 それは邪魔じゃないってことだよね?約束してもいいよってこと……だよね? 「ケーキ、練習する!ほら、ロウソク刺さなくてもいいようなやつ。秋だしモンブランとか!他にも……」 桜が必死になってロウソクが似合わなそうなケーキを探し出そうとする横で、今度は真尋が堪え切れずに吹き出した。 「じゃあ、桜の作るケーキを楽しみにしてます。」 桜の髪をもて遊ぶように触れていた真尋の指先が桜の頬に触れ、下唇に触れた瞬間、桜は全身が火照っていくのを感じて、勢いよくベッドから立ち上がった。 「安藤くんがびっくりするぐらいの超絶美味しいものにするからね!」 自分でも何をやっているのだろうと桜は思った。もしかしたらこのままキスできたかもしれないのに。なのにキスされるかもって思ったら、ドキドキし過ぎて頭の中が何も考えられなくて、緊張がピークに達して、隣になんて座ってられなかった。 「期待してるね。」 ベッドから立ち上がる安藤くんは顔色ひとつ変わらないのに。いつもと同じ。ポーカーフェイス。 「おやすみ、桜。」 「おやすみなさい。」 今夜は絶対眠れない……。こんな心臓がどくどくしいる状態で、安藤くんの匂いのするベッドになんて入って、すんなり眠れるわけがない。
/642ページ

最初のコメントを投稿しよう!