菫 一緒にいたいの

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思い出すだけで頬が高揚する。誕生日の日に成海から付けられた痕。数日は残って隠すのに大変だった。制服の時は襟が目隠しになってくれたけど、部活の練習着を着たら、露わになってしまった。だから、しばらくはTシャツはやめて、ポロシャツを着て練習に参加した。 「何であんなことしたんだろう……」 菫はベッドで寝返りをうった。あれが俗に言うキスマークだって言うのは、さすがに恋愛経験の足りない自分でも分かる。成海が付けた理由は?桜がくれた香水の匂いのせい? 「もう訳が分かんない。」 理沙や芽衣に聞けるものなら聞きたい。でも、そんな小っ恥ずかしいこと聞けるわけがない。もちろん桜にだって。さすがにキスマークの話題を出すのは抵抗がある。当の本人に聞けばいいのかもしれないけど……いやいや、それは無理だ。 「菫ちゃん、起きた?」 ドア越しに桜の声がして、菫はベッドから慌てて起き上がった。 「今、起きました!」 今日はゴールデンウィークのど真ん中だった。菫は桜と二人で買い物に行く約束をしていた。
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