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菫は桜と電車を乗り継いで、大きなショッピングモールのある街まで来た。電車の中で桜は菫に服を見立ててあげると言った。
桜がよく行くという店は、ショッピングモールの一角に店を構えており、女性らしいシルエットのニットやカットソーが並んでいた。
店員もヒールを履きこなして、大人びた雰囲気を醸し出し、菫は桜がいなければ絶対に店な入れないと思った。
「菫ちゃんのスタイルなら、何でも着こなせると思うの。」
「そうかな?」
「そうだよ!こういうスカートとか……」
桜が菫の腰の辺りに薄いパープル色の総レースのスカートをあてる。スカートは膝丈でフレアになっている。
「無理!こんなの着れない!」
店員が菫の声の大きさに何事かと、訝しげな視線を送ってくる。
「えー?可愛いよ。あとはこういうトップスとか。」
桜が次に菫の胸元に当ててきたのは、白いオープンショルダーのブラウスだ。袖は7分丈になっており、これからの季節に着れるようになっている。
「これで宮田くんとデートとか行ったら?」
「デート!?ないない!」
料理、お洒落、恋愛となると、明らかに桜の方が立場が優位になる。菫はただ無理無理!と言うしかできない。だって、こんな肩を出して、どんな顔をして成海に会えばいいのかも分からない。
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