菫 一緒にいたいの

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「いいこと思いついちゃった。」 成海はポンと机から地面に着地した。 「さっ、如月さん、仕事だよ。」 「えっ?」 「文化祭実行委員の会議。」 成海が指差した時計の針は16時になったところだ。16時から会議室で第一回の実行委員会があり、文化祭の方向性を決めることになっている。学級委員長はクラスの仕事があるため、今年から文化祭関連の会議への参加が免除されていた。 「私より神谷さんが参加した方が宮田くんもやりやすいでしょ。」 「どうして?君の仕事でしょ。」 間髪入れずに真顔で成海に言い返されて、歩夢は少し罰が悪そうに唇を噛んだ。 「すーちゃん、行ってくるね。」 「う、うん……。」 成海は何を閃いたのだろう。その片鱗すら想像がつかない。 「大丈夫。ちゃんとクラスをまとめられるよ。」 菫の不安な思いを読み取った成海は、いつも通り優しく微笑してくれた。その笑顔を見たら、菫もようやくほっとすることができた。
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