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次の日、朝のホームルームで文化祭実行委員の成海が教壇に立って、今年の文化祭のテーマを説明している。
昨日の会議は長引いたようで、菫が練習を終えて部室に戻ると、[ようやく終わったよ。無事に話はまとまったよ。]とスマホにメッセージが来ていた。成海が会議に行って、1時間半以上経ってから送信されていた。
成海の説明によると、今年の文化祭のテーマは思いを伝えることらしくて、どのクラスにも一人に一本のリボンが配られるとのことだった。リボンは各クラスで色が違っており、菫のクラスは白地にピンク色のドット柄のリボンが、文化祭の一週間前に配られるとのことだった。
「リボンには日頃言えない気持ちを書いて、文化祭の期間に大切な人に渡して思いを伝えてくださいってことです。」
ざわざわとクラスから雑談の声が聞こえてくる。菫の通路を挟んで隣に座る子たちが「好きな人に渡してもいいってことだよね。」と囁き合っていた。
文化祭は毎年、告白ラッシュがあり付き合う子たちが後を絶たない行事のひとつだ。それにこのリボンを利用しても良いということだろう。もちろん、好きな人がいなくても、友達や家族に渡しても良いし、使わなくても文句は言わないので、自分で決めてくださいとのことだった。
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