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だから――僕は思い出す。
月を見るたびに思い出す。
今も忘れられない、あの日の事を。
僕が犯した過ちを。
「――今日は満月なのね」
窓の外を見る僕の背後から声。
「ああ、そうだよ」
「満月か…………。満月といえば思い出すわ。あの日の事を」
「……何度も謝ったじゃないか。ごめんって」
「謝って許されることかしら?」
「……ごめん」
「冗談だから冗談。もうそんな昔の事、怒ってないわよ」
僕はその優しい彼女の方へ振り向く。
「――――ありがとう。詩花」
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