満月の夜の

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 僕は始めに気づくべきだった。  いくら彼女たちが双子だからといって、全く同じなわけではない。  顔もよく似ているが普段二人を間違えることはない。  声だって違うのだ。  なのに――なのになんで間違えてしまったのか。  ニット帽で顔が隠れていたから?  外で暗かったから?  呼んでいた相手以外が来るとは思わなかったから?  緊張していたから?  ――どうだっていい。なにが理由であっても、僕のしたことは許されることではないのだから。
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