とある春の、とある学校にて――

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「━━いやいやいやいや! ダメに決まってるだろ!」  唇が触れあう寸前、正気に戻る。寝ている間にキスを済ませるなんて論外だ。それが初めてならなおさらだ。 「何がダメなの?」 「それは━━ん?」  いつの間にか、彼女が起きていた。 「お、おはよう。ぐっすり眠れた?」  いつから起きていたんだろう。さすがにキスをしようとしたことは、バレていないと信じたい。 「まあまあね。ところで、一つ言っていいかしら」 「……どうぞ」  ああ、バレてたな。これからどんな風に、罵られるのだろう。せめてフラれないといいな。  覚悟を決めていると、彼女は目を閉じて、一旦深呼吸をした。 「ヘタレ。……小説通りに、ちゃんとキスもしてよ」  そう言った彼女の顔は、真っ赤に染まっていて。一瞬ぽかんとしたものの、やがてその意味を理解して、俺の顔も真っ赤に染まった。
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