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私――――秋元史には、好きな人がいた。
中学一年生の私だが、これくらいの歳だと絶対に好きな人がいる子が多いと思うんだ。
私のようにね。
その中で、両想いで付き合えた人ってどれくらいいるんだろうか?
私の好きな人――――芙二先輩には彼女がいる。
それを聞いた時私は頭が真っ白になった。
片思いしていた期間はそう長くはないが、ホントのホンキで好きだったから。
初恋だったし・・・ううん。そのこと抜いても諦めきれないよ・・・・・・
『キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン』
「ハイ、授業はここまで!出来なかった所は復習して来いよ~」
チャイムと先生の声がして私はハッとした。
しまった・・・全然ノ-トとかとってないよ。
仕方がない、友達に見せてもらおうっと。
そう思って私は、体を後ろにねじって斜め後ろの友人・葉鐘海月に声をかけた。
「海月~、ノ-ト見して!」
「えぇ、また?最近大丈夫か史。やっぱり先輩の事ショックなんだなまだ」
海月が私の顔を覗き込んでくる。
「う、うん・・・」
ちょっと男子っぽい口調の海月だが、美少女である。
女性ファンがいるくらいだしね・・・この学校には海月ファンクラブがあるんだよね。
ま、まぁその話はそこに置いといて。
とにかく海月は私の大切な人の中の一人なのだ。
「まだ吹っ切れないなら、新しい恋だよ恋!失恋した女子を慰める男子・・・青春!」
・・・こういう性格だけどね。
「でも、海月のそういうところが好き!」
「え・・・・・・?」
一人で語っていた海月が、私の方を見て顔を真っ赤にする。
あ。声に出しちゃったよ・・・
「ちょ、ちょっと待って海月!私は別にやましい気持ちがあっていったとかじゃなくて」
その時、すぐ近くの教室のドアから私たちに向けて気の抜けたような声がかかった。
「お前ら仲いいな~」
「って、芙二先輩!」
声の主は芙二先輩。生暖かい視線でこちらを見ている。
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