みなかみ町の悪夢

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「はあ・・・・・・はあ・・・・・・」  辛そうに乾いた息を吐き出す。先ほどからの猛暑に喉が渇いていた。空になったミネラルウォーターのペットボトルを捨ててからまだそんなに経っていない。どんなに口に流し込んでも体が水分を欲し吸収し尽してしまうのだ。 守は目的地である谷川岳に行く前にいくつか飲み物を買う事にした。だが、ここらへんにはコンビニがなく自動販売機も見当たらない。とりあえずここからすぐ近くにある商店街に向かいそこで買う事にした。昨日もここ周辺の道は通っていたため商店街の場所も分かっていた。青になったばかりの信号を渡り目的地に進む。しばらく歩いていると商店街の出入り口の看板が見えてきた。守はそれをくぐり自動販売機を探す。  その場所はさっき自分が歩いていた街中よりもずっとにぎやかだった。たくさんの群馬に住む人々が夕食のおかずの肉や野菜を買ったり食堂屋で昼を過ごしたり、珍しい品物を見て回ったりしていた。この平和な風景は故郷の秋田と全然変わらなかった。  ずっと見ているとホームシックを感じる程だった。だが群馬には昨日来たばかり、旅行を楽しもう。守はそう思った。しばらく商店街を歩いているとようやく小さな自動販売機を見つけた。水も麦茶もちゃんと入っている。守は自動販売機に駆け寄りお金を入れようとした時だった。
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