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「必要な物は揃ったな。じゃあ出発だ。」
上質の飲み物がお望み通り手に入りさっそく谷川岳に向かう事にした。商店街の出入り口の反対側を歩いて行く。この商店街は一帯が小さいため出られるだろう。出たらバスに乗り利根川の近くで降り一気に最上流を目指そう。そう思いながら足を進めていた時だった。
「きゃ!」
ドンと鈍い音、守が何かとぶつかった。女性の声を聞いてとても嫌な予感がした。そう思った瞬間、少女の持っていたかごの中の野菜などが道端にぶちまけられた。守のバッグもチャックを開けたままだったので彼の所持品も勿論地面に散らばった。
「す、すみません!」 「あ~ごめんなさい!」
守は少女の食材を女性は守の所持品を慌てて拾った。2人は焦って互いの物を拾い続けた。やがて守が先に女性の買った物を拾い終え全部かごの中に入れ込んだ。その直後に女性も拾い終えたのかかばんを守に返した。
「本当にすみませんでした!」
「こちらこそ・・・・・・あっ!」
まだ地面に守の所持品の漫画が落ちていた。
「俺が拾いますから!」
「いえ!私が!」
2人が漫画に手を伸ばした瞬間だった。
「あ。」 「あ。」
2人の手が漫画の上に重なり同時に声も重なる。焦っていたから今まで気づかなかったが彼女は守と比べ少し年下くらいの少女だった。やや短髪でおっとりとした優しい顔を持つ。
「す、すみません!」 「す、すみません!」
顔を赤らめ慌てて手を引っ込める2人。
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