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結局、漫画は守が拾った。本当に申し訳ない事をしたと心の奥底から思った。
「ふう~。」
守と少女は同時に息を吐き互いに目を合わせた。すると間もなく、突然2人は何がおかしいのか急に笑い出した。
「はははははは!」
「あはははははは!」
まわりの人々の視線を浴びても気にせずただ笑い続けた。やがて面白おかしく笑い終えるとお互い笑顔で見つめた。顔を赤らめた守の胸がドキドキしていた。心臓の鼓動が全身に伝わる。もしかしてこの少女に一目ぼれしてしまったのか?
「いや~あはは・・・・・・すいませんでしたね。」
「いえ、こちらこそ・・・・・・ふふっ。」
「本当にごめんなさい。では俺はこれで。」
謝罪の後、守が立ち去ろうとした時だった。
「あの!すみません!」
「?」
守は足を止め振り返ると何食わぬ顔で首を傾げた。まだ何か用があるのだろうか?
「もしよかったらさっきのお詫びをさせて下さい。」
「お詫び?」
「ええ、お腹空いていませんか?うちで食事を召し上がっていってください。」
守は再び顔を赤くして
「そ、そんなお気遣い無く!悪いのは俺なんですし!」
その言葉に少女は笑顔で答えた。
「あれは事故です。どっちも悪くありませんよ。どうか遠慮しないで下さい。」
守は少しの間悩んだが相手の好意に背くのも申し訳ないとも思った。やがて短い葛藤の末、頭をかき照れ臭い表情で縦に振る。
「そ、それじゃお言葉に甘えて・・・・・・。」
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