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と、いうところで目が覚めた。
「......はぁっ!!」
じっとりと汗ばんだ気持ち悪い身体を、思い切り起こし、空気を肺に思い切り取り込む。
浅い呼吸。
身体は苦しく、鼓動が早い。
時計を見ると、7時30分を指していた。
外は真っ暗で、激しい雨音が聞こえてくる。
僕は立ち上がり、一目散に玄関に向かった。
鼓動はどんどん早くなっていく。
鼓膜が破裂しそうなほど爆音をかき鳴らしながら体内を駆け巡る。
どうか、どうか無事であってくれ。
玄関のあけ、裸足のまま階段を駆け下りる。
自動ロック付きの共用玄関を勢い良く開け、どしゃぶりの中を傘もささずに飛び出した。
「ど、どうしたの...?」
裸足でぐしょぐしょになる僕の背後から、きょとんとした声をかけられた。
その瞬間、僕は涙が止まらなかった。
でもこの雨だ、僕が泣いてるなんて気がつかないだろう。
僕はゆっくり振り返って言った。
「ごめん、本当にごめん。僕が悪かった。外は寒いから、家に帰ろう。」
「ぷっ...。なによ、それ。ずぶ濡れで、あんたの方が寒そうよ。...私の方がごめんなさい。あなたも、物も、ずいぶん傷つけたわ。」
そう言った彼女の笑顔は、この長い長い一時間、僕が一番見たかったものだった。
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