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今にも達してしまいそうな気分なのに、乾の冗談に笑っている自分もいる。その冗談の余韻にまぎれるように、乾の指が後ろに挿し込まれる。最初きゅっと眉を寄せて耐えなければならなかったが、そのまま違和感を受け入れた。中をかき回して、それは抜かずにもう一本を挿し込む。柔らかくなるころには、もう、それだけじゃ足りなくなっている。
「いぬいさん……ユーヒさん……」
腰をくねらせて、催促する。
「はは、どっち?」
「ユーヒさん……」
ぷつ、指が抜かれる時、小さな音が立つ。乾の先端が、入り口を数ミリ押した。
「あっ……う」
圧迫感がスムーズに奥まで届き、遠のく。
「は……んっ、あっ、あっ、あ」
助走をつけながら、だんだん、速くなる。ベッドの中が揺れていて、離されないように背中に抱きつく。
「……んゃっ…………そこ……いい」
「ここ?」
「うん……ぁっ、あっ、あっ、あっ、ふぁんっ」
「んっ……俺もいい、ここ」
うっとり呟いた乾が、さらにスピードを速める。
何か意味のある言葉を発することはできなくなる。重さと、温度と、息遣が身体の中と外に満ちていて。激しく呼吸する音とか、繋がり合った場所が立ててるゼリーをスプーンでえぐるみたいな音とか、どんどんあられもなくなっていくのに、同時にすごく静寂で。
「――ゃあんっ、あ、あ、あんっ」
「…………ケート」
うめくように慧斗の名前を呼んで、どくり、乾が弾ける。
「…………ひぁ……ぁっ」
下腹が痛いくらい張り詰め、次の瞬間に、生暖かいものが広がった。はっ、はっ、はっ、はあ……折り重なって呼吸をしながら、慧斗は中に注がれたどろどろの後味に身を任せた。
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