忘れ去られた夢の行方

3/4
前へ
/4ページ
次へ
なんだこれ? と私がキョトンとしていると、 教授が驚いた顔して私に説明した。 「もしかして、知らないのかね?これはスタンド式ドライヤー、通称『お釜ドライヤー』と言って、 椅子に座り上から吊り下がっているドライヤーを頭から被って髪を乾かすものだよ!昔ながらの銭湯でよく見かけるだろう?」 「…いや、銭湯に行かないので…」 「何と!」 やれやれと教授は肩をすくめながら言った。 「もちろん、こいつは今や普通のお釜ドライヤーではなく、私の手で、夢を抽出する装置に生まれ変わっているがね! 因みにこれもリサイクルだよ!使わなくなったドライヤーを銭湯から頂いてきたんだ! どうだ、すごいだろ! 名前も考えてあるよ! 名付けて 『Dream Vacuum(夢掃除機)』だ!」 と教授は胸を張りながら高らかに宣言した。 「…教授、忘れ去られた夢は良くも悪くも印象に残っていないから、忘れ去られたのでは? そんな夢を抽出するより、忘れたくなかった良い夢だけを抽出すれば、儲けになるのでは?」 取り敢えず自信満々な態度と絶望的なネーミングセンスは無視し、私は事実を告げた。 すると、意外にも教授はキョトンとした顔でこう言った。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加