忘れ去られた夢の行方

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「何を言っているんだね、ユキくん。 そんな事をしたら、人類皆、夢の世界に逃げてしまうではないか。 確かに、時には現実逃避は必要だと思うよ? だが、それは『一時』であって、『永遠』であってはならないのだ。 だから、私は『忘れ去られた夢だけ』を抽出する装置を発明したんだ。 忘れ去られてしまった下らない夢を見て、『はぁ、下らない!』と失笑して、明日の活力にするんだ。 それを金儲けに利用するなど…君には夢が…浪漫がないのかね…『夢』という単語に近い名前をしているというのに…。」 「『ユ』から始まって、2文字で終わる名前の人なんて、この世の中に5万といると思いますが… …では、教授、研究費はどうするのですか?」 「…すっかり忘れていたよ…」 と教授は今気づいたかのように呟いた。 「はぁ…成果を上げられないと、研究費は下りませんよ?大体その装置もお金を使って出来たのでは?」 「これはさっきも言った通り、使わなくなったドライヤーを譲ってもらったし、部品も今まで使わなかった物を再利用したから製作費は『ただ』だよ!」 もうダメだ、この人には何も言っても通用しない…。 「…はぁ、頭が痛くなってきた…。」 「頭が痛い?大事な教え子の君が体調を崩してしまっては大変だ!!頭が痛いのなら、今すぐに寝たまえ!さぁ!さぁ!」 と教授は嬉々として、私をお釜ドライヤー…じゃなかった、『Dream Vacuum』に座らせようとした。 「…私を実験台にしようとしているのでは?」 「成果がないと研究費は下りないのだろう?だったら、実験をして、効果を試してみる必要がある!」 と教授は意気揚々と答えた。 「…教授、無駄だと思いますよ。」 「何故かね?」 「…教授のインパクトが強すぎて、今から見る夢は全て忘れたくても忘れられないでしょうから…。」
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