仕掛けられた甘い罠

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柊ちゃんに一人暮らしをしたいと話したあの日から、二週間が過ぎた。 結局、その話は何も進んでいない。 一度反対されたこともあり、私の方からまたあの話を持ち出すことが出来ずにいた。 「望愛が一人暮らしするなんて、柊一朗、全力で反対するでしょ」 「うん……断固反対って言われた……」 「柊一朗は、望愛ラブだからね」 なっちゃんは、柊ちゃんのように反対はしなかった。 「望愛ももう大人なんだし、一人暮らしに興味持ったっておかしくないのにね」 私にとってなっちゃんは、母であり、姉でもあり、唯一の友達でもある。 同性だからなのだろうか。 柊ちゃんには話せないことも、なっちゃんには打ち明けられる。 決して、私を否定しない。 「そういえば柊一朗、珍しく怒ってたよ。瀬名くんが、おかしなこと言い出したんだって?」 「……っ」 瀬名さんからの、突拍子もない提案。 背中越しにかけられた言葉。 どうして彼は、あんなことを言ったのだろう。 あれから二週間、彼は一度もこの店に姿を見せていない。
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