541人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
柊ちゃんに一人暮らしをしたいと話したあの日から、二週間が過ぎた。
結局、その話は何も進んでいない。
一度反対されたこともあり、私の方からまたあの話を持ち出すことが出来ずにいた。
「望愛が一人暮らしするなんて、柊一朗、全力で反対するでしょ」
「うん……断固反対って言われた……」
「柊一朗は、望愛ラブだからね」
なっちゃんは、柊ちゃんのように反対はしなかった。
「望愛ももう大人なんだし、一人暮らしに興味持ったっておかしくないのにね」
私にとってなっちゃんは、母であり、姉でもあり、唯一の友達でもある。
同性だからなのだろうか。
柊ちゃんには話せないことも、なっちゃんには打ち明けられる。
決して、私を否定しない。
「そういえば柊一朗、珍しく怒ってたよ。瀬名くんが、おかしなこと言い出したんだって?」
「……っ」
瀬名さんからの、突拍子もない提案。
背中越しにかけられた言葉。
どうして彼は、あんなことを言ったのだろう。
あれから二週間、彼は一度もこの店に姿を見せていない。
最初のコメントを投稿しよう!