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「ちょっと、泣かないでよ……」
恋は甘いものだとばかり思っていた。
こんなにも胸が締め付けられるほど、苦しい思いをするなんて知らなかった。
そして、自分がこんなにも身勝手な人間だということも、初めて知った。
瀬名さんの気持ちが、嬉しくて堪らない。
それなのに、私は彼に全てをさらけ出すことを恐れている。
過去を話す必要はないのかもしれない。
でもきっと私は、彼に隠し続けることに耐えられなくなる。
私の全てを知ったら、彼の気持ちは私から離れてしまう。
ただ、それが怖いんだ。
それが何よりも怖くて、仕方ないんだ。
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