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瀬名さんのことを、こんなにも冷たく感じたのは初めてかもしれない。
「で、用事は何?ないなら帰ってほしいんだけど」
「……今日、泊めてよ」
「無理。どこかホテルに泊まればいいだろ」
「私はお兄ちゃんの家がいいの!ホテルに泊まったって、楽しくない」
「じゃあ東京に帰れば?」
「それも嫌!せっかく北海道に来たのに、まだどこも観光してないもん」
「とにかく家は無理だよ。葛城に連絡してやるから、どこか泊まる場所探してもらえよ」
「葛城に会ったら説教されるから会いたくない!」
完全に拒絶する瀬名さんと言い合っているうちに、彼女は追い詰められたのかついに泣き出してしまった。
どうしよう。
目の前でケンカしているのに、仲裁に入らなくていいのだろうか。
なぜこんな言い合いになっているのかもよくわからないけれど、泣いている瀬名さんの妹を放っておくわけにはいかない。
「あ、あの、今夜はもう遅いので……ここに泊まっていってもらった方がいいような気がするんですけど……どうですか?」
すると瀬名さんは即座に反対した。
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