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「あ、あの、私、楠望愛といいます。よ、よろしくお願いします……」
「……よろしく」
「どうしてそういう言い方しか出来ないんだよ」
「仕方ないでしょ。私はこういう性格なんだから」
そこで二人の会話は終わり、瀬名さんはいつもの食卓のように私に話を振ってくれた。
食事が終わると、一番最初に立ち上がったのは麗奈さんだった。
「私、お風呂入りたいんだけど」
「あ、お風呂沸いているので、どうぞ!」
「タオルの準備しておいて」
麗奈さんはソファーに置いていた鞄から部屋着や下着を取り出し、お風呂に入りに浴室へ向かって行った。
「私、タオルとか用意してきますね……」
彼女の後を追うようにリビングを出ようとした私の手に、瀬名さんの手が触れた。
「望愛ちゃんはゆっくりしてていいよ。僕がやるから」
「でも……」
「これは、君の仕事じゃないよ。それより、生意気な妹でごめんね。今夜だけ泊めたら、追い出すから」
「い、いえ……」
……瀬名さんに握られている手が、熱い。
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