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「……で、そろそろさっきの続きの話していい?」
「さっきの続きって……?」
瀬名さんが何のことを言っているのか本気でわからず、首を傾げた。
「僕が今日の昼に麗奈といるところを見て、望愛ちゃんが動揺した話」
「……っ」
そうだ。
麗奈さんの思いがけない登場ですっかり忘れていたけれど、麗奈さんが家に来る前はそんな話をしていたんだった。
思い出すだけで恥ずかしさが募る。
私、みっともないくらい取り乱してしまったんだ。
「望愛ちゃん、気にしてくれてたの?」
嬉しそうに私の顔を覗き込む瀬名さんを見ていたら、本音しか言えない気持ちにさせられた。
「……気になってました。……一緒にいたなっちゃんに、相談するくらい」
「夏さんも一緒にいたんだ。じゃあきっと誤解してるだろうね」
「ご、誤解が解けて良かったです……なっちゃんには、後で話しておきます」
まさか瀬名さんの妹だったなんて言ったら、きっと驚くだろう。
「あのさ、そんなこと言われたら期待しちゃうんだけど」
「え?」
瀬名さんの、獲物を捕らえるような視線が胸に突き刺さった。
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