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「……私の母は、病気や事故で亡くなったわけではないんです。……自ら、命を絶ったんです」
そして、その第一発見者は、他の誰でもないこの私だった。
「でも、母は本当はまだ生きていたかったんだと思います。……それなのに、私が母に言った言葉が、母を追い詰めてしまったんです」
あの頃の私は、自分のことしか考えられなかった。
どうして私は生まれてきてしまったのか。
どうして私は、こんなに苦しい思いをしなくちゃいけないのか。
周りの子たちは、皆幸せそうに笑っているのに。
自分だけが笑えない状況に、子供ながらに不満を感じていた。
私を取り巻く全ての悪は、父だった。
でも、父に反発することは出来なかった。
ただ怖くて、自分から近寄ることさえ出来なかった。
だから私は、私を守ってくれていた母に、不満をぶつけてしまったんだ。
「どうして……どうして私を産んだの?って……私なんか生まれてこなければ良かったんだって……母を、責めてしまったんです」
追い詰めるつもりなんてなかった。
ただ、胸の内を聞いてほしいだけだった。
だって、理解してくれる人は、母しかいなかったから。
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