一生分の勇気

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「母が亡くなったのは……それから三日後のことでした」 間違いなく、私の言葉が母の心を壊してしまった。 私が何も言わなければ、弱音を吐かなければ、責めたりなんてしなければ、母が自ら死を選ぶことはなかった。 目が涙で滲んでくる。 瀬名さんの顔が、徐々に見えなくなっていく。 ずっと抱き続けてきた後悔の念が、涙となって溢れ出してしまった。 でも、中途半端に話を止めるようなことはしたくない。 私は途切れ途切れになりながらも、言葉を続けた。 「その後……母の遺品を整理しているときに、母が書いていた日記を見つけました」 その日記は、私が生まれた頃から書かれているものだった。 その日記を読み終わった後、私はその場で泣き崩れてしまった。 日記には、母から私への愛が溢れていた。 どのページをめくっても、私の成長を喜ぶ言葉ばかりが丁寧に細かく記載されていた。 私は、私を愛してくれていた母に最低なことを言ってしまった。 深く傷つけてしまった。 「わ、私を必死に守ってくれていた母を傷つけてしまったのに、この先愛されることを望むなんて……っ」 許されるはずがないんだ。
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