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「じゃあ君は、この先そうやって自分を責め続けながら生きていくの?」
「……っ」
「でも、それって誰が望んでるのかな」
少しずつ、視界がクリアになっていく。
瀬名さんが、私の隣に移動した。
彼の指が、私の目尻に触れる。
何の躊躇いもなく、彼は私に触れてくれた。
「望愛ちゃんを愛していたお母さんがそんなことを望むとは、到底思えないけど」
「で、でも……っ」
「真実はもう誰にもわからないよ。どれだけ君が悩んだところで、それは想像でしかない。違う?」
母があのとき何を思っていたのか。
今はもう、どれだけ知りたくても聞くことが出来ない。
だから私は、何十回も、何百回も、想像した。
でも、答えは今も見えないまま。
「君の言葉は、きっかけの一つに過ぎなかったのかもしれない。いくつものことが重なって、自ら死ぬことを選んだのかもしれない。考え出したらキリがないよ。……人が死を選ぶ理由なんて、いくらでも考えられるんだから」
私は今まで、そんな風に考えたことはなかった。
自分を責めながら生きることしか出来なかった。
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