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「僕のそばにいてくれるなら、間違いなく幸せになれるよ」
私の過去を知っても、変わらず好きだと言ってくれることを、多分私は心のどこかで期待していた。
でもその期待よりも、不安の方が遥かに上回っていた。
瀬名さんの言葉には、いつだって嘘がない。
たった一言で、不安を消し去ってくれる。
まるで、何かの魔法みたいだ。
「そろそろ、僕のことどう思ってるか聞かせてもらってもいい?」
瀬名さんは小さく顔を傾け、私の泣き顔を覗き込んだ。
私を見つめるその瞳は、既に全てを見通している。
「……ズルい、です……」
「何が?」
「だ、だって、その言い方……っ、私の気持ち、もうとっくにわかってるじゃないですか……」
「望愛ちゃんの声で、聞きたいんだよ」
そんな愛しい人を見つめるような視線を向けられてしまったら。
誤魔化すなんて、出来るはずがない。
「……瀬名さんが、好き、です……」
あぁ、ついに言ってしまった。
自分の気持ちを自覚してからずっと、何よりも伝えたかった言葉。
それなのに、何よりも伝えることを躊躇ってしまった言葉。
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