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この日私は、きっと一日中落ち着かない様子を見せていたと思う。
ラストオーダーの時間が過ぎ、厨房の掃除をしていると、柊ちゃんがいつものように私に声をかけた。
「望愛、お疲れさん。新メニューのパフェ、評判良かったよ。今度また食べに来るってお客さん言ってたから」
「本当?良かった……」
このお店では、毎月新しいメニューをいくつか考案して入れ替えている。
ラムレーズンとマスカルポーネを使ったアイスのパフェは、今月の新作だ。
「ところで望愛、今日はこれから何か予定でもあるのか?」
「え……どうして?」
柊ちゃんには話していないけれど、今夜は大事な予定がある。
「さっきから、時計ばっかり見てるから」
「……っ」
完全に無意識だった。
いつもとは違う行動をしていたら、勘の鋭い柊ちゃんならすぐに気付くに決まっている。
「もしかして、瀬名くん絡み?」
「ど、どうしてわかるの……?」
「やっぱりな。望愛の顔見れば、すぐにわかるよ」
私、今どんな顔してるんだろう……。
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