一生分の勇気

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「そういえば、昼頃に麗奈からメールきたよ。無事に東京に着いたって」 「そうですか……良かったです」 「東京から札幌は割と近いから、また休みがあったら来るかもしれないな」 「早くまた、会いたいです。私、同年代の人と仲良くなれたのが初めてで……」 「麗奈と仲良くなったら、ワガママだからいろいろ大変だよ」 麗奈さんの話題になったことで、徐々に緊張が和らいでいった。 その後も瀬名さんは次々と話を振ってくれて、私はこれから重たい話をしなければいけないことをつい忘れそうになっていた。 本当に、素敵な人だと思う。 恵まれた境遇で育ってきたのに、ちゃんと人の心の痛みがわかる人。 境遇なんて関係ないのかもしれないって、瀬名さんと言葉を交わす度に思い知らされる。 「あ、あの……」 「ん?」 「き、今日は……忙しいのに、早く帰ってきてくれて、ありがとうございます……」 話を始める前に、まずはお礼から伝えなければと思った。 こうやって時間を作ってくれることだけでも、本当に有り難いし申し訳なく感じてしまう。 「帰るに決まってるよ。僕にとっては、最優先事項だからね」
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